当時、或る中小企業食品会社のクリスマスは、大出血のクルシミマスでありました。ケーキにシュトーレンにチキンetc、まーーー様々なものの”おすすめ”を頂きました。
ちなみに現在は聞いた話では、昔よりはマシになったとのことですが、実際のところは私も食品業界離れたのでわかりません。あくまで私が見聞きした昔語りです。
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(大出)血のクリスマス
美味しいものが大好きだ。だから食品会社に入りました。中でもクリスマスは毎年おいしいケーキが食べられ、お正月はおせち料理があるということで、小さい頃から毎年年末は楽しみにしていました。
食品会社に入社して、クリスマスを迎えるまでは。。。
食品会社と言っても、色々な食べ物がありますが、どのジャンルにしてもかなりの確率で何かを買うざるを得ない環境に追い込まれ、苦しんでだ経験があると思います。
私はクリスマスでクリスマスケーキ 、チキン、シュトーレンなどで「鬱ルンです」でした。
独占禁止法の優越的地位の濫用
当時、食品メーカー営業で担当にパンメーカーさんやお菓子メーカー、その地でスーパーや量販店、場合によっては食品卸などがあると、たくさんのクリスマスケーキ を買うざるを得ませんでした。
昨今は独占禁止法の優越的地位の濫用などの項目に照らして罰せられた業者などもあるようですので、かなり減少した傾向にあると聞きましたが、まだまだある場所にはあるようです。
一般代団法人にて食品産業センターのHPにて「食品業界の取引慣行の実態調査」を行っておられますのでこちらをご参考されると良いと思います。
2012年情報でこれですので、この慣習も一部ではまだまだ行われている可能性が高いと考えられますね。
誰が買えというのか?
私の経験の範囲ではですが、色々なケースがありました。製造元が得意先の場合は、確かに直接購入を勧められるケースはあります。ですが、その場合の多くは強制ではありません。

じゃあ、買わなければいいじゃん。
・・・と言われてしまいそうですが、実際に買う羽目にある原因は、
<ケース1>
得意先は強制ではないが、購入を強く勧められ、裏地事情を勘繰った結果に自分が買わないとやばいんじゃないかと考えて、自主的に買ってしまうケース。
<ケース2>
自社内の同僚などの担当営業者が購入しないことによる営業成績への影響を懸念するあまりにその同僚後輩などにパンフレットを配って、販売を強く促すケース。
<ケース3>
上司から担当先のクリスマス物品は買ったのか?と実績向上のために購入を勧められ。渋ると責任感が足りないとドヤされ、評価をチラつかせて買わされるケース。

まー、そうやって買うように仕向けさせられるケースは分かったけど、そもそも買えばいいじゃん。別にそんな高くないわけだし。どうせケーキ食べるでしょ?
そうですね。買ってもいいと思います。
一家に一台だったらね!?食べるならね!
デスクに積まれたケーキの山に茫然とする新入社員。内輪もめも引き起こされる?
必要な分のケーキを買うだけなら、別にいいという考え方もありますが、実際慣習的に「買う=複数台」を意味していました。
真面目で熱心な社員ほどたくさん買ってしまいます。机の上に5台のクリスマスケーキが積まれて茫然とする新入社員。毎年大体1人は目撃される。
(多すぎるケーキはやむ終えず、捨ている人もいたと思います。。。)
クリスマスの風物詩のようなものでした。
3,000円/台ほど、新入社員が5台買ったとなりますと単純計算で15,000円の出費です。
また、これに関して、やりようによっては人間関係すらも壊すことがあります。
以下のようなケースです。

FUJIHO!ケーキ今回はバリバリパンから買わんのか?

今年は家族が違うの食べたいと言ってたので、地元の個人のケーキ屋さんから買いました。

おいおい、何だそりゃ。どぉイウコトナンデスカ?いいからもう一台買えよ。

パイセン、、、もういいでしょう?得意先のため何十台もケーキ売らなかくても。実際にここ数年先輩たくさんケーキとかおせち とか、バリバリビンビンに売りましたけど、うちの製品バリバリパンへの販売実績はあまりビンビンではないでしょう?(本当は順調に微減を継続している。)

これ買わなかったらもっと下がるかも知れないじゃないか!?
お前の友達とかでケーキ買っていないやつ紹介してくれよ!!
ここまで悪慣習に毒されて、洗脳せれているとのもはや手のつけようがありません。
絶好調の伊藤智仁元投手のスライダーや、全盛期の藤川球児の火の玉ストレート並に手をつけられない状況と言えます。
私は当時粘りで断り切りましたが、パイセンは他の同僚に売り込みに行きました。また、毎年こんなの繰り返していました。
これは当然、人間関係の悪化という悲劇を生むこととなります。
ビジネス目的でケーキ買うのは経費でしょう?
当時会社の解釈は違いました。これらはあくまでも
自発的に、自主的に、そして自腹で。
購入するものとして考えられてきました。
私は常々、これを会社の福利厚生の一貫にした方が合理的と要望したことが複数回あります。
数量を定めて、会社で営業成績に応じて買い上げて、福利厚生として関連部署に進呈する。これならば、得意先も満足して、自社への覚えも麗しく、社員も不安と恨みが会社への敬意と尊敬に変わり正のスパイラルを引き起こせる可能性がある、、、と。回答は残念ながら、、

でもね〜。これは商習慣だから〜。君ももう少し経験積めばわかるよ〜。
ということでした。
私はこのような非合理的なことは一生理解できないと思います。
ちなみに中国企業の月餅は会社が買い上げて社員に配っているので、中秋節は逆に会社にしておりました。
私、甘いもの好きだったので。💪😂😂
未来のために改善を望みます。
私は食品業界は平均的に年収が他業界より低いということ、そして、このような悪慣習や古来の人脈で凝り固まっている部分に限界を感じて食品関係の仕事からは離れましたが、やはり食は全ての源、世の中になくてはならない業界であり、食の探求は世界共通かつ永久のテーマですので、もっと人気があっても良い業界であると常々思っておりました。
実際に中国では、日本のお菓子は安心安全面で評価されており、味覚文化の違いはあるものの、価格が合えば売れそうな製品は買う多くあると思います。
そのためには、価格競争力や製品リサーチ力の向上、製品品質の維持を続けなければなりません。
それには、上記のような悪習を撤廃し、営業社員は無駄な悩みから開放させてあげて営業社員は本来の客に売ること、リサーチ&マーケティングに集中できる環境づくりしてあげるべきです。
日本の食品は今でこそB&Cがありますが、やはり依然として特有の卸制度などで物流も何も行わない、無駄なペーパーマージンだけを得ている卸商社が多すぎます。(酷い時は4社とかあります。)
そして、この商流に絡んでいる多くの理由は、「昔からの付き合い」ただそれだけだったりします。
食品業界はそのせいで利益体質が他業界より低くなっている傾向があると推測します。犠牲出てしまいますが、今回のコロナを期にこの悪習を一掃する会社が出てくるのを期待しています。
安くお菓子を食べ続けられ、かつ食品業界の従事者の収入がもっと向上することを期待しています。
(アメリカでは、コーラとかネスレとか世界級の菓子会社とかも多いですか。日本はあまり聞きませんしね。)
今回は以上となります。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。